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暗記地理からの解放。

【バレンタイン】受験地理から読み解く世界のカカオ事情

地理 二次・私大地理対策

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ガーナのカカオ豆栽培が抱える問題

・・・と、こんなことで終わっては怒られてしまいます。当ブログのメインテーマは受験地理なので、最近出題された国立大学二次試験の地理からチョコの原料であるカカオ豆に関する問題を取り上げ、世界を取り巻くカカオ事情について概観してみようと思います。

 

カカオ豆の生産量世界一ってどこでしょうか?ガーナチョコが有名だから、ガーナ?

 

確かにガーナはカカオ豆の主要な生産国ではありますが、ガーナのカカオ豆の生産量はむしろ伸び悩んでいるんです。2010年度の北海道大の問題を見てみましょう。

問8  カカオ生産の主要国であるガーナでは、近年、カカオ豆の生産量が伸び悩んでいる。その理由を、「零細農家」、「買い上げ価格」、「農業投資」の3語を用いて説明せよ。 

いきなり難問を持ってきてしまってごめんなさい。この問題は受験生にとってもやや意地悪です。零細農家」や農業投資」はまだしも、「買い上げ価格」がカカオ豆の生産をどう左右するかはやや教科書のレベルを上回る感があるからです。もう少し詳しいリード文か誘導問題、表などを提示するのが出題者側のセオリーだと個人的には思います。ただ、世界のカカオ事情を読み解く上で非常に重要な問題なので真っ先に取り上げました。ひとまず、解答例を見てみましょう。

 

国際価格の下落や財政難を背景に買い上げ価格が引き下げられた上、生産者の多くが零細農家であり、土地生産性や労働生産性を上げるための農業投資が困難なため。

といったところでしょうか。実はガーナにおけるカカオ豆の生産者からの買い上げ価格は、他の多くの国と違って国際相場に連動していません。生産者は価格の市場決定権を持たない、つまり、高く買い上げてくれる買取業者を選ぶことができず、財政が厳しい国の固定価格に依存しているのです。それゆえ、農業投資に回すお金を工面できず、生産の拡大が難しいという問題を抱えているわけです。

 

カカオ豆栽培に依存する「モノカルチャー経済」

さて、ガーナではないという話でした。その西隣のコートジボワールという国が、生産量世界一なのです。同じ「コート」が付く地名で「コートダジュール」(紺碧海岸)って聞いたことありますよね。フランス地中海沿岸の有名なリゾート地です。コートジボワールは同じフランス語で「象牙海岸」という意味。フランスの旧植民地です。

 

もう一つ、カカオ豆の生産が近年急速に伸びている国があります。それがインドネシアです。コートジボワールガーナインドネシアが、世界のカカオ豆の主要生産国として押さえておきたい国です。

 

この3ヶ国に共通する特徴ってなんでしょうか。それは熱帯であるということです。カカオ豆は高温多雨の生育環境に適しますから、熱帯の低地におけるプランテーション農業による栽培が発達したのです。受験地理的にはカカオ豆と似た生育環境の作物に天然ゴムや油やしがあることも押さえておきたい所です。

 

プランテーション農業とは、輸出用の商品作物を大規模に栽培する企業的農業のことです。その発達は、植民地時代に欧米の企業が資本や技術を提供し、安価な労働力を背景に、大規模な農園で特定の作物を単一栽培したことに遡ります。旧宗主国本土の気候は冷涼ないし温暖ですから、本土では栽培できない熱帯作物がプランテーション農業によって栽培させられたのです。

 

プランテーション農業によって引き起こされる問題とは何でしょうか。2013年度の一橋大の問題を見てみましょう。この問題は、先の北海道大の問題を別の角度から考える意味でも非常に重要な問題です。

コーヒー豆、カカオ豆、茶、バナナ等の一次産品(中略)の生産者は②前世紀前半に定着した産業構造の負の遺産を象徴する存在といえる・・・

 

問2 下線部②とは、具体的にはどういうことか。国の経済と生産者の置かれた状況の両面に触れながら、説明しなさい。(150字以内)

プランテーション農業による商品作物の単一栽培が、国の経済と生産者の置かれた状況にどのようなマイナス要因をもたらしているかについて聞いているわけです。解答例はこんな感じです。

 

2植民地時代に旧宗主国によって導入されたプランテーション農業が独立後も行われ、特定の輸出用商品作物の生産に依存したモノカルチャー経済から脱していない。生産者は国際価格や需要動向の情報に乏しいため、買取業者の言い値で取引せざるを得ず、収入が価格や生産量の変動に左右されやすく、経済的困窮が改善されない。(150字。一橋は問題番号に1マスを使います)

プランテーション農業によって生産された農産物は、各国の輸出品の中で大きな割合を占め、一国の経済を左右します。モノカルチャー経済です。モノカルチャー経済は農作物の価格変動によって大きな影響を受けますから、先の問題で出てきたガーナの経済状況のような財政難が容易に発生しうるわけです。では、この状況から脱却するために発展途上国が行ってきたこと、それに私たちが出来ることは何でしょうか。見ていきましょう。

 

脱却策①多角化

改めて一橋大の、今度は2016年度の問題(改題)です(お分かりの通り、一橋は発展途上国の経済に関する問題が大好きです)。同じカカオ豆のプランテーション農業を行っている国でも、アフリカのコートジボワールと東南アジアのインドネシアでは少し状況が違うようです。

問4(改題) 東南アジアのインドネシア【ウ】はコーヒー豆とカカオ豆【Z】の世界で有数の生産国である。アフリカのコートジボワール【エ】はカカオ豆の生産と輸出で世界一であり、またコーヒー豆の生産国、輸出国でもある。しかしカカオ豆やコーヒー豆の輸出(による外貨収入)が、インドネシアの経済とコートジボワールの経済に与える影響は異なっている。どのように異なり、それはどのような理由によるのか説明しなさい。その際、表Ⅰ―3を参考にしなさい。(125字以内)

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表を読み解かなければなりません。お示しした通り、【ウ】がインドネシア、【エ】がコートジボワール、【Z】がカカオ豆でした。表の「主な輸出品」を見ると、コートジボワールにはカカオ豆が入っているのに対し、インドネシアには入っていません。ここから、先の問題で見たモノカルチャー経済はコートジボワールの状況であることが分かります。ではインドネシアはどうでしょうか。確かにパーム油はプランテーション農業によって栽培される油やしから得られる植物油ですが、その他にも石炭や天然ガスなどの地下資源、電気機械などの工業製品も輸出していることが分かります。輸出品目が多角化しているのです。解答には端的にこのことをまとめます。

4コートジボワールでは植民地時代からのモノカルチャー経済から脱却できておらずこれらの農産物の輸出が国の経済に与える影響は大きい一方、インドネシアでは資源開発や外貨導入による工業化により輸出品目が多角化し輸出に占めるこれらの割合が低いため影響は小さい。(125字)

 

でも、そういった多角化の恩恵を受けられる国は限られています。特にアフリカ諸国の場合、物的・社会的インフラの整備に必要な資本の蓄積が進んでおらず、それゆえ経済の多角化へと歩を進めることができないという問題が横たわっており、これがいつまでも最貧状態から脱却できない最大の要因となっているのです。

 

脱却策②フェアトレード

つまり、経済の多角化には資本の蓄積が必要なのです。資本の蓄積のためには生産者に安定した収入を得させ、ひいては国の財政を安定させることが最低限の必要条件です。フェアトレードをご存知の方は多いでしょう。ここで再び、2013年度の一橋大の問題を見てみます。

フェアトレードは直接的な援助を行う代わりに③市場を通じた取引に一定のルールを設けることで彼らの生活を改善する仕組みである。

 

問3 図Ⅰ―1は、1988年から2010年までのコーヒー豆の一般市場価格とフェアトレード市場価格の推移である。ここから下線部③のルールの特徴が読み取れる。それはどのようなルールで、それによって生産者が得る利益とは何か。説明しなさい。(100字以内) 

 

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ここまで見てこられた方であれば簡単でしょう。「フェアトレード市場価格」は130セントを下限として、一般市場価格を上回った場合には一般市場価格で、下回った場合には130セントで取引されていることが分かります。最低取引価格を設定することで、不当に安い価格で取引されることが無くなります。生産者の収入が安定するのです。解答にはそのことをまとめます。

3生産コストと生産者の収入に見合う最低取引価格が設定され、一般市場価格が下落した場合には最低取引価格での買い取りが保証される。生産者は持続的な生産と生活を維持するための安定した資金を得ることができる。(100字)

フェアトレードによる購買行動は「エシカル」(道徳上の)と言われることもあるようですが、地理的な視点から見れば、私はもっと根本的な視点で語る必要があるのだろうと思います。グローバル化が進む昨今、発展途上国が最貧状態から脱却するためには、安価な労働力を背景に先進国からの労働集約的な工業を誘致し、工業製品を生産・輸出を行う輸出指向型工業化による経済の多角化が必要です。そのためには少なくとも、資本の蓄積が不可欠なのです。フェアトレードによって彼らの収入を安定させることは、彼らの国を経済の多角化へのスタートラインへと立たせることなのです。

 

私たちはグローバル化によって彼らからチョコの恩恵を得ています。彼らにグローバル化によって経済の多角化の恩恵を受けさせることは、先進国に生きる私たちの責務では無いでしょうか。

 

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