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暗記地理からの解放。

宇都宮と前橋、どちらが都会?

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2017年度より本格的にブログで食っていこうと思っているので、当ブログは2月よりはてなブログの有料版に移行し、独自ドメインに変更しました。同時に慣れないブログデザインのカスタマイズもちょくちょくやっていきます。リニューアル中はリンク切れ等でご迷惑おかけするでしょうがご容赦ください。Facebookページも開設しました。更新情報をUPしていきますので下記リンクより「いいね!」をお願いします。

 

宇都宮と高崎の都市規模、どちらが大きい?

宣伝はこの位にしておきまして、興味深い質問をいただきましたので紹介します。

一極集中的な宇都宮と、分散的な高崎ではどちらの方が都市規模が大きいと思いますか?根拠も併せてお願いします。

 

「どちらが都会」というのは巷でよく耳にする話題です。少し分かった気になっている人はこういった話題に触れるとつい市町村人口を見て思考停止になりがちです。一番上の図でお分かりの通り、宇都宮には統計上のダイナミズムがあります。というか、どう定義をしても宇都宮都市圏の方が高崎・前橋都市圏より人口が上なのです。だから宇都宮に軍配が上がる?のでしょうか。もう一度質問を吟味してみましょう。

 

>一極集中的な宇都宮
>分散的な高崎

推察するに、この質問者さんは単に宇都宮と高崎の都市規模を比較せよと言っているのではなく、一極集中的な宇都宮の都市圏と高崎・前橋という2つの大都市を持ち分散している高崎・前橋の都市圏、どちらの方が相対的な都市規模として「大きい」のか、を考察せよと言っているのでしょう。極めて地理的な質問であることが分かります。

 

相対性を語るとき、統計上のダイナミズムというものはほとんど意味をなしません。ある変数が大きくなった時、他の変数もまた大きくなるのは基本的に当然だからです(北海道の人口が多くの府県より多いのは、面積が大きいからで相対的に都会だからではありませんね)。複数のファクターによる関係性を比較することで、初めて相対性は得ることが出来ます。都市圏≒商圏のことなので、ここでは商業的な統計による比較を試みてみたいと思います。

 

高崎>前橋は妥当か~小売業販売額から考える

まず前提として確認しておきたいことがあります。先ほどから質問者さんの意図を尊重し「高崎・前橋」という順序で話を進めてきましたが、果たしてこの順序は妥当なのか。都市圏の規模を比較する前に都市圏内の都市の規模を確定しておかなければなりません。以下の数字は高崎と前橋の年間小売業販売額と年間卸売業販売額です。

 

 小売業卸売業
高 崎 1.7兆 1.3兆
前 橋 2.4兆 2.0兆

 

商業の高崎、文化の前橋などとはよく言われますが、数字はこれを真っ向から否定します。上の地図で見た通り、人口規模は高崎>前橋でありながら、小売業販売額では高崎<前橋なのです。小売業はデパートやスーパー、商店街などで一般消費者に商品を販売しますから、販売額は人口にほぼ比例するのですが、ここでは逆転しています。つまり、高崎と前橋が同じ都市圏であることを考えると、高崎が前橋に商圏を依存していると推論立てることができるのです(少し語弊がありますが、要するに前橋→高崎への商圏依存度よりも高崎→前橋への商圏依存度の方が高いということです)。すなわち高崎・前橋の都市圏でもっとも都市規模が大きいのは前橋であって高崎ではない。「前橋・高崎」がしかるべき順序なのです。このことを前提として話を進めていきたいと思います。

 

宇都宮の数字も載せておきましょう。前橋・高崎の数字と合わせて確認しておきます。

 

 小売業卸売業
宇都宮 2.8兆 2.2兆
前 橋 2.4兆 2.0兆
高 崎 1.7兆 1.3兆

 

宇都宮の統計上のダイナミズムは相変わらずです。しかし確認すべきことは数字の大きさではありません。相対性です。

 

宇都宮と前橋の都市規模~卸売小売比から考える

前橋と高崎のような商圏を依存する/される例を除けば、小売業販売額が人口にほぼ比例することは上述した通りです。一方で、卸売業は生産者や1次卸などから仕入れをし、小売業者だけでなく、下流の卸売業者や一般企業に商品を販売します。ですから卸売業は生産者や一般企業の本社の集積が大きい、つまり都市規模が大きいほど販売額が大きくなります。確認しておきたいのが、卸売業販売額を小売業販売額で割った「卸売小売比」です(ちなみに2007年度の東大地理でも卸売小売比に絡めた問題が出題されています)。

 

 卸売小売比
宇都宮 0.76
前 橋 0.86

 

ほぼ人口に比例する小売業の販売額に対し、卸売業販売額はそれぞれ0.76倍、0.86倍です。つまり宇都宮よりも前橋の方が相対性に卸売業の集積度合いが大きい=都市規模が大きいということになるのです。高崎も合わせれば、前橋都市圏は宇都宮都市圏よりも相当相対的な都市規模が大きい都市圏という結論が得られるのです。大変なことを暴いてしまいました。栃木県民の皆さん、怒らないでくださいよ。

 

まとめ

どうしてこのような結論になるのでしょうか。2つ理由が考えられます。1つはストロー効果。前橋の中心を走る鉄道は前橋と栃木県の小山を結ぶ両毛線で、新幹線は走っていません。一方で宇都宮は早くから東北線で東京と繋がり、新幹線も80年代には開通しています。つまり宇都宮の方が東京への依存度が高いわけですから、自ずと宇都宮の商圏はストローのように東京に吸い寄せられ、前橋より東京への依存度が高くなります。逆に前橋の東京への依存度は低いわけですから、相対的に東京の影響を受けず都市規模が維持されているという話です。

 

もう1つは「競争」です。前橋と高崎は競合・対立関係にある、などと言われますが、まとまった商圏を持つ行政施策の主体(=自治体)が隣接する関係にあれば、いずれも商圏を奪われないよう商業を活性化する政策に重点を置こうとします。その切磋琢磨の積み重ねが、結果として上述したストロー効果のような状況にもある程度の対処をできる強い商圏を形成し、宇都宮と比較した時に都市規模が大きいといえる状況を作り上げたという話です。

 

これは一例に過ぎませんが、宇都宮と前橋の比較は、一極集中型と分散型の都市圏を比較した時に、分散型の都市圏の方が強いという推論に論理的な裏付けをもたらします。近年、「選択と集中」だとか「二重行政の解消」と言った言質を頻繁に耳にしますが、それが結果として良いことなのかどうか、行政効率だけでなく地理的な観点からも考えてみる必要がありそうです。

 

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